About

【成功にIQは関係ない ー成功のカギは「やり抜く力」だったー】 『やり抜く力(アンジェラ・ダックワース)』を読んでみました。



「いくら努力しても、結局もともと能力がなければうまくいかない!」

「そんな勉強なんてできるようにならない!」

「理系のセンスがないから、数学はできない!」


さて、これは本当なのでしょうか。


答えはNOです。この問いには実は科学で正確な答えがでています。





成功のカギは、やり抜く力

今回読んだのは、アンジェラ・ダックワース氏の注目の著書、
やり抜く力(Grit: The Power of Passion and Perseverance)です。



成功はIQか努力によるものか。Ted Talksで彼女は、このように言っています。

IQは優等生と劣等生の間で関係ない。
学力、職業の成功に共通する指標は、数日、数か月ではなく、何年間も取り組んでやり抜くこと力GRITだった。
やりぬく力が強い人ほど、卒業率が高くやりぬく力が高いほど、離職率が低い。
やりぬく力をどう育てるかは、現状ではわかっていない。
才能(たぶんIQ)とやり抜く力は関係ない(というか反比例する)
GRITを育てるために一番よいのは、「学習能力は固定されておらず、努力によって変えられる」と信じる「成長志向」。失敗したときにそれが永続的ではないと考えられれば、GRITは育てられるのだ。

今回も、読んでいて面白かったところのまとめ(要約)と、感想を書いていきます。

大きな成功をおさめた人は、例外なく「粘り強さ」と「情熱」を兼ねそろえていた


彼女は、どんな人が成功するのかに大規模な調査を何度もしてきました。
例えば


・アメリカ陸軍「グリーンベレー」の訓練に残る人
・営業力があり、離職率が低い人
・高校を卒業できる人
・スペリングコンテストで高い成果を収める人
・全力で長い時間走れる人


こういった、様々な人を対象に「何が成功に関係するか」を実際に調べました。
もちろんIQや、文化背景なども考慮されていました。


結局、グリーンベレーの訓練に残った人も、営業力が高い人も、高校を卒業できた人も、みな「粘り強く頑張る力」と「特定の目標に粘り強く努力する意志力」、つまりやり抜く力が一番関係していたのです。

知能はどう関係しているのでしょう。

実は、いくつかの研究ではもともとの才能が高いことがあだになってしまうこともありました

例えば、SATスコアとやり抜く力には負の相関関係があり、またもともと言語能力が高い子どもには、練習時間が少なく出る傾向があったみたいです。

同じ能力なら「努力家」よりも「天才」を評価してしまう

「僕は親が文系だから理系ができない」と思い込んでいる人は多いでしょう。なぜでしょうか。
人がどう「地頭」と「努力」を評価しているかの研究がありました。

普通に聞くと、「人は地頭よりも努力をする人のほうが成功する」と回答する人が多いです。

一方で、こんな実験があります。

企業に対する出資者は、起業家についてのポートフォリオを見せられます。片方は努力家タイプ、もう片方は才能タイプだと事前に知らされます。そして、プレゼンテーションの録音を聞くのです。
結果は、才能タイプだと聞いていた人のほうが、その起業家について高評価をしていたのです。

つまり、心の底で思っていることと、実際に言っていることが逆なのです。

ダックワース氏はこの点をこう指摘しています。
ニーチェはこう言っている。「我々が虚栄心や利己心によって、天才崇拝にはますます拍車がかかる。天才というのは神がかった存在だと思えば、それにくらべてひけめを感じる必要がないからだ。「あのひとは超人的だ」「というのは「張り合ってもしかたない」という意味なのだ。言い換えれば「天賦の才を持つ人」を神格化してしまったほうがラクなのだ。そうすればやすやすと現状に甘んじられていられる。
圧倒されると人はそれが努力ではなく、才能がすごいと思ってしまう。そうしたほうが自分が楽だからです。自分が努力をしない言い訳を残しているということですね。


「やり抜く力」を図るグリットスケール


さきほどの実験に使われていたやりぬく力はどうやって測定されるのでしょうか。

さきほどの粘り強さは、グリットスケールによってはかられます。まったくあてはまらない(5)、あまり当てはまらない(4)、いくらか当てはまる(3)、かなり当てはまる(2)、非常にあてはまる(1)と数字をつけていきます。

1. 新しいアイデアやプロジェクトとが出来ると、ついそちらに気を取られてしまう。
2. 私は挫折をしてもめげない。簡単にはあきらめない。
3. 目標を設定しても、すぐ別の目標に乗り越えることが多い。
4. 私は努力家だ。
5. 達成まで何か月もかかることに、ずっと集中して取り組むことがなかなかできない。
6. 一度始めたことは必ずやり遂げる。
7. 興味の対象が毎年のように変わる。
8. 私は勤勉だ。絶対にあきらめない。
9. アイディアやプロジェクトに夢中になっても、すぐに興味を失ってしまうことがある。
10. 重要な課題を克服するために、挫折を乗り越えた経験がある。

これは、同じ目標にどれだけ継続的に取り組んでいるかを問うもの(情熱)を問うものです。
これが高ければ高いほど、グリット=やり抜く力が強いみたいですね。
このグリッドスコアは、考え方を変え、行動を変えればあとからでも伸びるそうです。安心しました。

やりぬく力を強くする4ステップ

やりぬく力を、どう強くしたらいいのでしょうか。ダックワース氏は、4つのステップがあると説明しています。

1.< 興味> 自分のやっていることを心から楽しんでこそ、「情熱」が生まれる。
2. <練習> 粘り強さの表れは、きのうよりも上手になるようにと日々の努力を怠らないこと。
3. <目的> 自分の仕事は重要だと確信してこそ、情熱が実を結ぶ。
4. <希望> 希望は困難に立ち向かうための粘り強さ。

ここには教育にかかわるものとして、強く共感しました。

そもそも好きではなければ子供は勉強しないし(興味)、練習しなければ達成経験から面白いと思わない(経験)。何のために勉強しなければいけないかわからなければやる気は持続しないし(目的)、「やればできる」と思わなければ難しい問題が出てきたときにあきらめてしまう(希望)。

これが全部満たされているときに、人はやり抜く力がつくのだろうと思います。

意図的な練習をしなければ上達しない

ただ、時間をかければいいというわけではありません。
ダックワース氏は、意図的な練習をしないと上達しないと説明しています。

意図的な練習のコツは、
1. ある一転に的を絞って、ストレッチ目標を設定する
2. しっかりと集中して、努力を惜しまずに、ストレッチ目標の達成を目指す
3. 改善すべき点が分かった後は、うまくできるまで何度も繰り返し練習する
意図的な練習は一日3-5時間が限界です。

固定思考を成長志向に変えよう

やりぬく力を得るにはどうすればいいでしょうか。ダックワース氏は、考え方を変えればよいと説明しています。どう変えればいいのでしょう。

固定思考を捨て、成長思考をとるといいそうです。

固定思考とは、「どんなに努力をしても、この状況は変えられない」という、パブロフの犬的な考え方です。学習性無力感ですね。

成長志向は、今回の失敗はほかでもない自分に何か原因があって、その何かを改善すれば、きっとよくなるという思考です。今よりもよくなるという、達成経験に基づいた学習性楽観主義ですね。

成長志向の強い人ほどメンタルヘルスが高く、寿命が長く、成績もよいみたいです。


認知行動療法の話などもいろいろ出てきましたが、ここを読んでアドラー心理学を思い出しました。
ほかにもご紹介したい内容が多すぎて、書ききれません。


正直教育系で今年読んで一番面白かった本なので、教育に携わる皆さま、人をやる気にさせたいと思う皆さま、あとお子さんをお持ちの親御さんにはぜひ読んでいただきたい本です。(子育てに関する章もあります。)






スポンサーリンク

Read more↓

書評














教育











キャリア

プログラミング・ライフハック

About me


・ 最近The Academic Timesというアカデミック専用メディアを立ち上げました。