『言ってはいけない 残酷すぎる真実』の感想と要約(橘玲)

『言ってはいけない 残酷すぎる真実』の感想と要約書きました。(橘玲)


書店に並んでいて、おもしろいタイトルの本だな~と思い、Kindleでポチりました。
著者の橘さんのプロフィールです。
1959年生まれ。早稲田大学卒業。2002年『マネーロンダリング』でデビュー。同年、「新世紀の資本論」と評された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』がベストセラーに。06年『永遠の旅行者』が第19回山本周五郎賞候補となる。橘玲公式サイト http://www.tachibana-akira.com/(amazonより
さて、今回も例にならって要約と面白かった箇所についてのまとめていきます。

目次


  • 橘さんの主張
  • 「能力は努力でなんとかなる」という不都合な規範
  • 実際の遺伝の研究によると、能力と病気はほとんど遺伝が影響している
  • 一卵性双生児の研究によると、能力はほとんどが遺伝による
  • 人種別能力の研究で分かった、人種による能力の違い
  • 男女の性行動に関する謎は遺伝で説明できる
  • 反社会的な性質は身体的特徴に現れる
  • みためで人生が決まる



橘さんの主張

人間の知能に関する環境と遺伝の議論では、無条件に環境をすべての理由にしたがる。それは、知能が生き残るために必要なものであり、それが遺伝だと社会が不平等になってしまうからだ。でもぶっちゃけ研究だと知能は遺伝がほとんどだと出てるから、非科学的な環境論に左右されず、言ってはいけない真実(知能は遺伝)から目をそらさないことが、適切な対処を施すことが大事。(筆者要約)

なるほど~と思いました。僕自身、遺伝のせいにしてしまうと、自分の力では解決できなくなってしまうので、自分の変えられるべきところを変えたり、環境でどうにかすべきだと思っていたのですが。「残酷すぎる真実」はもはや環境をかえてもしょうがないということを物語っています。「残酷すぎる真実とは何か」については後述。

「能力は努力でなんとかなる」という不都合な規範


「音楽の才能がない親の子は音楽に才能がない」→こっちは普通に納得
「デブな親の子どもはデブ」→こっちは個人の努力に帰せられる
「子供の成績が悪いのは親が馬鹿だからだ」→これもだめ
=知識経済において、能力が評価されるからこそ、社会を平等に見せる規範が存在

これもなるほどなと思いました。下に行くほど社会通念的に受け入れがたくなりますよね。遺伝の研究によると、体重の遺伝率は80%以上、つまり親がデブならだいたいその子どももデブなのに、実際、太っていることは個人の努力が足りないからと思われてしまいます。学力も同様ですね。

実際の遺伝の研究によると、能力と病気はほとんど遺伝が影響している


・遺伝の影響がどれくらいで、環境の影響がどれくらいかを遺伝率という。遺伝率90%だと、90%は遺伝で説明できて、10%はその他の変数で説明できる
・身長が66%、体重が74%が遺伝で説明できる
・統合失調症の遺伝率は80%が遺伝で説明できる
・サイコパスの遺伝率は80%が遺伝で説明できる
・レインの反社会的行動の研究:遺伝率96%が遺伝で説明できる

ほえええ。身体的特徴に関しては、努力でどうにかなるものではないんですね。そりゃ僕の伸長は低いわけだ笑(両親二人とも170cm未満)
統合失調症については、80%と書いてありますが、ほかのサイトをみたり論文を見るとその数値にばらつきがあります。とはいえ、やはり多くが遺伝によって発症すると書いてあるので、驚きました。


あるサイトによると
・親の片方が統合失調症であった場合、子供が統合失調症を発症する確率は10%(10人に1人)
・両親がともに統合失調症であった場合、子供が統合失調症になる確率は40%(せせらぎクリニック
らしいですね。

さらにはサイコパスの遺伝率ですね。これだけ遺伝によって発症する可能性が高いのであれば、やはりこの「残酷すぎる真実」は知っておいたほうがよいと思います。自分がサイコパスになる可能性が高いことを知っていれば、その特性をうまく生かすための準備もできるだろうし。ちなみに前に中野信子さんの「サイコパス」についてレビューしましたので、こちらも読んでもらえると嬉しいです。

一卵性双生児の研究によると、能力はほとんどが遺伝による

・一卵性双生児は、DNA構造がほとんど同じ。だから一卵性双生児研究は遺伝環境を統制し、環境要因による影響を見れる
・一般知能の8割、論理的能力の7割が遺伝で説明できるので、認知能力における遺伝の環境は極めて大きい
一卵性双生児の研究は、遺伝子が100%同じの双子を使う研究です。遺伝と環境のどちらが影響を与えているのかを調べるために、環境のみだけ異なる二人の双子を使った研究が一卵性双生児になります。研究結果は・・・悲惨ですね。

人種別能力の研究で分かった、人種による能力の違い



・ハースタイン、チャールズマレーの「The Bell Carve)によると、白人の平均的なIQは100にたいし、黒人は85だった
・知的障害の割合は、社会階層をコントロールすると、階層最下層で白人=7.8%、黒人42.9%だった
・社会階層をコントロールすると、IQ75以下の子供の割合は、白人7.8%に対し、黒人が42.9%だった
・ユダヤ人は世界人口の1/600。なのにノーベル賞受賞者のうち25%がユダヤ人。またアメリカだとユダヤ人人口が3%なのに対し、企業のCEOの20%、アイビーリーグの学生22%
・ヘンリーハーベーディングのユダヤ人の遺伝学研究:アシュケーナ系ユダヤ人だけが平均IQが112-115で、平均的なヨーロッパ人のIQ100より大きく差をつけている
・アジア人は白人より知能が高い。PISAで成績上位の国はアジア諸国が住めている
もともとのデータをちゃんと見れてないのですが、なるほど、こういう研究があるのだなあと。著者はこれが遺伝が原因だという論を貫いていますが、正直僕はこの統計には裏がありそうだなと思ってしまいます。ただ、それでも遺伝による研究の結果が、人種の能力差を示しているというのもまた事実なのだと考えると、非常に考えさせられます。

男女の性行動に関する謎は遺伝で説明できる



・女性:生涯に埋める子供の数に上限がある→養育コストが一人当たり大きい→養育可能性のある男性を求める
・男性:精子コストは低く、機会があれが好きなだけ子供を作れる→なるべく多くの女性と性行動をしたほうがよい
・種の保存のために、他人の子供を育てるのは進化的損失になる。生まれてすぐ殺したほうが養育コストが低くて済むので経済合理的なので、男性は血のつながらない子供を殺す
・実親と義理親では、幼少期の虐待死亡数が全然違う
・他人の子供をそうとは知らずに育てることが最大の機械的損失→嫉妬という感情はここから生まれた
・オランウータンもレイプする

なぜ男性が浮気を多くして、女性は安定した人を求めるのか。なぜ男性は女性の身体的な浮気を許せないのに、女性は精神的な浮気が許せないのか。遺伝学の視点から見ると実に納得がいくなと思いました。

反社会的な性質は身体的特徴に現れる

・心拍数が低いほど、反社会的行動を誘発する可能性が高い
・発汗しない子どもは良心を学習できない
良心がそもそも育ちにくい遺伝子の人もいるんですね。こういうの子供のうちからわかっておくと、子育てしやすそうです。

みためで人生が決まる

・マシュー・ハーテンスタインの卒業アルバムの研究によると、卒アルで笑顔の人はそうでない人と比べて離婚率が1/5になる。
・外見から知性が判断できる
・大人びた顔の被告は92%有罪判決、童顔の被告は45%
・アフロセントリックな人種であるほど有罪判決の判断が下されやすい
・ニコラス・ルールとナリーニ・アンディ売の「CEOの顔だけで会社の収益を予測できるか」→力とリーダーシップで会社の収益を正確に予想した
これだけ見るとウソやんって感じですが、実際にこの本は根拠となる研究についても載せてあるので、見てみてください。卒業アルバムの研究が面白かったので要旨だけ。

デポー大学で心理学部准教授をつとめるハーテンステイン先生は、人が将来を見抜く手がかりを研究する心理学者。彼は人の表情に隠された「手がかり」を確かめるために、卒業アルバムに着目した。20代から80代まで、650人以上の大学の卒業生の卒アル写真を集めて、笑顔の度合いを点数化。そして結婚生活がうまくいっているかどうかを尋ねると、あまり笑っていない人の離婚率は、満面の笑みの人の5倍にも達していた!(BLOGOS

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『サイコパス(中野信子)』 読んでみました。

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